本書では、わたしが医師になろうとしたきっかけから、全国を飛び回るまでの軌跡、そして、僻地で感じたこと、これからの日本の医療の未来について考えることを記しています。「空飛ぶドクター」となって約7年、本当にいろんなことがありました。楽しいこともつらいことも……。当直明けに、鏡に映る、ぼろぼろの自分の姿にげんなりすることもあります。どうしてこんなに頑張らないといけないのかと。でも決して、逃げ出したいと思うことはなく、すべては「誰かのために」という思いで、がむしゃらに医療に向き合ってきました。ありがたいことに、ご縁があって、赴くことになった北海道や種子島、他にもたくさんの地域がありますが、どこの病院でも、毎回多くのことを、勉強させてもらっています。実際、現地に足を運んでみると、その地域が抱えている問題は、思っている以上に深刻なのだと、実感させられました。この本を手に取っていただいた皆さまには、各地の医療環境の現実を知っていただくともに、ご自身の健康について、少しでも考えるきっかけになっていただくと幸いです。また、現役の医師や今後医師を目指す方たちには、こんな働き方があるんだということ、そして、僻地医療への興味のひとつになってもらえると嬉しく思います。どうぞごゆっくり、わたしと一緒に空を飛んでいるような気分で、お読みください。